福岡県立城南高校同窓会/校章・名称使用 認証番号 №00002

第25回 講師:荒牧智之さん(9期生)知っておきたい給排水設備の防災技術=ライフラインが途絶えたらどうするの?=

日 時 5月20日(火) 19時~  
テーマ 知っておきたい給排水設備の防災技術
    =ライフラインが途絶えたらどうするの?=
講 師 荒牧 智之(9期生)㈱西原衛生工業所
    首都圏本店 技術担当部長

<概要>
 講師は城南高校で美術部に在籍後、明治大学工学部建築学科を卒業し、株式会社西原衛生工業所に入社。現在も同社にて新入社員教育を担当される傍ら、大型建築物やマンションの給排水設備の設計・施工に携わり、現場での設計図の検討や、大学での非常勤講師、さらには建築物の空気調和・衛生工学会等の学術団体での委員会活動など、幅広くご活躍されています。

 今回は、講師の豊富な実務経験と専門的な視点から、気候変動による大雨や渇水などを受けて、建築物における給水・排水設備がどのようなインフラ対策を講じているのかについて、具体例を交えてご講義いただきました。

 私たちが生活する上で必要な水の量は、1人当たり1日約250ℓとされ、4人家族では約1,000ℓ(=1㎥)が必要です。たとえば50戸のマンションであれば、1日あたり約50㎥(=50トン)の水を供給する必要があります。そのため、多くのマンションでは、1世帯あたり1㎥を基準とした受水槽が設置されています。

 また、使用された水は同量の生活排水となり、建物内の排水管を経て公共下水道に放流されます。特に「合流式」と呼ばれる汚水と雨水が同じ下水管を通る方式では、大雨時に排水量が増加すると、公共下水道内の水が逆流し、建物内に侵入するリスクがあります。これを防ぐため、大型建築物には逆流防止設備が備えられています。

 都市部では地面のアスファルトやコンクリート化が進み、雨水が地面に浸透しにくくなっており、雨水流出のリスクが高まっています。これに対応するため、東京都をはじめ多くの自治体では「雨水流出抑制施設」の設置を推奨しています。これには、雨水を一時的に貯める「貯留施設」と、雨水を速やかに地中へ浸透させる「浸透施設」があり、一定規模以上の建築物や公共施設では設置が義務付けられています。

 さらに、地震などの災害時には、水道の供給が絶たれる場合もあります。人が生きるために最低限必要な水は1日約3ℓとされ、飲用水の確保も重要です。これに対応するため、近年では災害用の非常用浄水装置も進化しています。たとえば、置き型の「アピーザ」は1時間に2,000ℓ(2㎥)の浄水能力があり、背負い型の「セオエール」でも1時間あたり60ℓの浄水が可能です。いずれも機器内で浄水・殺菌処理を行い、飲用に適した水を供給します。

 このように、給排水設備や災害対策装置は、気候変動や災害リスクに対応して日々進化を続けていますが、既存インフラの改修には公共・民間ともに十分な補修予算が確保できていないという課題もあります。

 今回の講義を通して、私たちの生活がいかに給排水インフラの安全性と安定性に支えられているかを改めて認識する良い機会となりました。同時に、水資源の節約や排水の適切な処理といった日常の心がけが、将来的なインフラの持続性につながることも学びました。例えば、水道の蛇口をこまめに閉める、洗濯はまとめて行う、台所の廃油や排水されにくいものを流さないといった、当たり前のことを当たり前に行うことの重要性を再確認しました。

以上