第11回 講師:あべ友子さん(13期生)今だからこそ感じよう万葉の心=万葉集の和歌=

日 時 2024年1月16日(火) 19時~  
テーマ 今だからこそ感じよう万葉の心
    =万葉集の和歌=
講 師 あべ友子(13期生)
    万葉歌びと

<概要>
 城南高校在学中は音楽部に所属。卒業後、万葉集の第一人者として知られる日本文学者の犬養孝氏と中西進氏に影響を受け、万葉集を学ぶ。世界最古かつ最大の詞華集といわれる万葉集は全4,516首、その内「読み人知らず」は2,300首。1,300年もの間、歌(詩)が持つ力のみで歌い継がれてきたという。
 万葉集は授業や受験勉強で暗記するものではなく、古来の日本人がもつ純粋な感性や道徳観、恋愛観を「心」で感じ慈しむものであると説かれ、また元号「令和」が万葉集からの引用であることに感慨深く意義あるものと説かれました。
「信濃なる 千曲の川の 小石(さざれいし)も 君し踏みてば 玉と拾はむ=信濃の千曲川の小石でさえ(会えない)あなたが踏まれた石であるならば、せめてあなたの玉(魂)と思って拾います。」
「君が行く 海辺の宿に 霧立たば 吾が立ち嘆く 息と知りませ=(遠く旅立って会えない)あなたが行く海辺の宿に、もし霧が立ったなら(残された)私の嘆く息だと思って下さい。」
 現代はスマホなどの通信機器や交通網が当たり前で、人との距離感は短い。医療技術の向上や消費行動(モノに溢れ捨てる行為)に慣れ過ぎてもいる。これらが皆無な時代、人との別れや死を身近に感じていたのだろう。万葉集にはもともと日本人がもつ命の尊さや人を慈しむ繊細な心の奥深さが感じられるという。
 今一度、万葉集に触れ、感じてみてはいかがでしょうか。